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ケイトはホットコーヒーにジュディスはアイスコーヒーを頼んでいた。
ケイトはブラックのままコーヒーを啜ると口許に笑を浮かべ「ウィリアムとの事じゃないのね?話しって」
「違います..あの、ケイト先生ってカールの事どう思ってますか?」
ジュディスのアイスコーヒーの氷がカランと音を立てた..
「クリスティ君?」
「はい..」
自分でもあまりに質問が唐突過ぎたと少し後悔した。
「そうねぇ、何だか彼すごく変わったわ。まるで別人みたいに」
「..それだけですか?」
「えっ?どうしたの、話しってクリスティ君の事?」
ジュディスは目の前のコーヒーには手もつけずに、少し焦りを感じていた。
自分から買って出たのにこのままでは何も収穫が得られそうになかった..
「彼はとても素晴らしい人だと思うわ、ちょっと変わってるって思う人もいるかもしれないけど」
ケイトは悪戯っぽく笑みを見せると再びコーヒーを口にした。
「..カールがイメチェンしたのケイト先生の為なんです」
ジュディスは心の中でカールに謝りながら、彼の気持ちを代弁した。
ケイトは一瞬、時間が止まったかのように静止したが、次の瞬間ふふっと小さく声を出して笑った。
「そんな事しなくても、あのままのクリスティ君で良かったのに」
「えっ?!先生..」
「いけないわね、ここにも学生に気がある悪い教育者がいるんですから」
ケイトはウィリアムと掛けて自分の事を自虐した。
その意味に気付いたジュディスはハッとして彼女を見た。
「彼は天才よ。私は彼の才能、そして人間性に惹かれているの」
「カールは近々、大学を卒業して先生のラボで働きたいって..最初はケイト先生の傍に居られるだけでいいって言ってたけど、私がつい出しゃばっちゃって..」
「ううん、ありがとう。..そう、彼やっと来てくれる気になったのね」
ケイトは独り言のように呟き、小さく微笑んだ。
___ママ、すごいでしょ?
私も人の為になれるんだって思ったの..下手したらただのお節介だったかもしれないけど..
それからケイト先生とカールは交際を始めたの。
カールは無事に6月の終わりに大学を卒業して、隣の研究棟でケイト先生のラボで研究員として働き始めたの、勿論PF会の時は会えたしもう学生と先生の関係じゃないから交際はオープンだったの。
とてもお似合いのカップルだったわ。
私とウィリアムはまだ秘密の関係だったからそれがとても羨ましかった。
でも本当に幸せだったわ...
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