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『濡れた服を絞りたい』
彼の言葉を理解するのに、ほんの少し時間がかかって……。
意味が分かった瞬間、私の顔はボッと真っ赤に染まった。
「あ!はっ……はい!
ご、ごめんなさいっ……!」
伸ばしかけていた手を引っ込めて、慌てて彼に背を向けた。
そ、そうだよね。
冬じゃないにしても、さすがに海辺の夜は冷えるよね。
背後に感じる、濡れた服を脱いで絞る彼の気配。
何だか変にドキドキしながら私は考える。
自分の心の中に浮かんだ、”まだ彼と離れたくない”という想い。
その想いを叶える為にどうしたらいいのか……。
「ーーねぇ、そのままじゃ風邪ひいちゃうよ。
よかったら……私の部屋に、来ない?」
一呼吸して、それが私の口から出た言葉。
後から思い返すと、ものすごく大胆な事を言っていた。
ついさっき会った、素性も知れない男性を部屋に誘う発言をしていたのだから……。
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