第1章 出逢い(2)

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『濡れた服を絞りたい』 彼の言葉を理解するのに、ほんの少し時間がかかって……。 意味が分かった瞬間、私の顔はボッと真っ赤に染まった。 「あ!はっ……はい! ご、ごめんなさいっ……!」 伸ばしかけていた手を引っ込めて、慌てて彼に背を向けた。 そ、そうだよね。 冬じゃないにしても、さすがに海辺の夜は冷えるよね。 背後に感じる、濡れた服を脱いで絞る彼の気配。 何だか変にドキドキしながら私は考える。 自分の心の中に浮かんだ、”まだ彼と離れたくない”という想い。 その想いを叶える為にどうしたらいいのか……。 「ーーねぇ、そのままじゃ風邪ひいちゃうよ。 よかったら……私の部屋に、来ない?」 一呼吸して、それが私の口から出た言葉。 後から思い返すと、ものすごく大胆な事を言っていた。 ついさっき会った、素性も知れない男性を部屋に誘う発言をしていたのだから……。
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