第1章 出逢い(1)

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第1章 出逢い(1)

【アカリ17歳の3月】 私は小さな町で、ごくごく普通な……。 いわゆる、一般庶民として育った。 決して珍しくもない黒髪に黒い瞳の容姿。 顔は「ブス」と言われた事はないから、自分では人並みだと思いたい。 取り柄と言ったら料理を始めとした家事全般が熟せる事くらい、かな。 物心がついた時から父親がいなかった私は、小さな町の片隅の家で、母と静かに二人暮らし。 平凡で、決して裕福ではないけれど、大好きな優しい母と過ごす幸せな毎日だった。 けれど、ある日。 身体の弱かった母が病で亡くなった。 身寄りもなくて、独りぼっちになってしまった私。 そんな私を支えてくれたのは、同じ町に住む優しい人々やご近所さん。 母を失って悲しくて寂しかったけど、心暖かいみんなの助けもあって、何とか生活をする事が出来ていた。 しかし、暫くして状況は一変する。 ようやく落ち着いてきた私の元を訪ねて来たのは、ある有名な名家の使者。 「アカリ様、お迎えにあがりました」 「!……はい?」 突然現れた迎えの使者に、私は只々目を丸くする事しか出来なかった。
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