第1章 出逢い(1)

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ーまるで、おとぎ話の世界のようー。 でも、おかしいね。 子供の時に憧れた世界が、今目の前に広がっているのに……。 私の胸は、少しもときめく事はなかった。 何故なら私はアルバート様にとって、跡継ぎをつくる為の道具だったから……。 唯一の孫娘である私を引き取り、自分のお眼鏡に叶った御曹司と結婚させる。 それが目的だったのだ。 お祖父ちゃんに会える! そんな無邪気な期待は無駄で……。 祖父には会えず。 住み慣れた町。 母との想い出の詰まった家。 友達とも引き離されて……。 私はここで18歳の誕生日を迎えるまでの約一年間、名家の孫娘としての花嫁修業を強いられる。 今までの17年という自分の人生を捨てなくてはならない、否定され続ける毎日。 悲しくて、泣きたくて……。 でも。 私には、他に行く所がなかった。
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