第2章 さなぎは美しく蝶と化す

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「れんかぁ~」 知己さんが見えなくなると、美和が少しにやにや笑いながら、抱き着いてきた。 「美和、暑い…」 「恋華さーん、今の人誰―?」 「…ここの店主で、みづにぃの友達」 私は『瀧河古書堂』の看板を指しながら言った。 「で、それだけ…?」 それだっけって、他に何があるのだ。 「そうだよ、昨日知り合ったばっか」 「それで、恋華さんは、一目ぼれしたわけですか…」 「えっ…?」 「恋華さんが、遂に恋を再開…!」 嬉しそうに言う美和。 私がまた恋をした…? きつい冗談は、やめて欲しい。そんなことあるわけがない。 「美和…」 私の低いトーンに美和は我に返った。 「ごめん、蓮華…」 美和は申し訳なさそうな顔をする。
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