第2章 さなぎは美しく蝶と化す

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私が泣きそうな顔をしていたからだと思う。 そこまで私には、恋と自分の名前に拒否反応があるのだ。 「でもね、恋華。1つだけきかせて」 美和が私の顔を覗き込んで言う。 「どうして、そんなに赤い顔をしてるの?」 そんなの決まってる。 「暑いから。熱中症一歩手前」 頬が熱いのも、知己さんを見たときの動悸も、知己さんの声が繰り返される幻聴も、全てそれのせいだ。 「…はははっ!」 一瞬の沈黙の後、美和は腹を抱えて笑い出した。 全く意味が分からない。 「もう、降参だわ。ただこれだけは覚えといて。」 ようやく笑うのをやめた美和が切り出した。 「あたしはいつも恋華の見方だけど、きっと恋が始まるのは誰にも決して止められないよ」
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