第2章 さなぎは美しく蝶と化す

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「お洒落したいのー?」 「えっ?」 「かわいくなりたいんでしょー?」 酒とは恐ろしいものである。あの日からずっと禁忌となっていたワードを容易に口から出させてしまう。しかもあの日からずっと味方でいてくれたあいねぇの口からだ。 しかし事態はこれで終わらなかった。 「恋華、私よりかわいいのになー」 「…」 「もったいないよー」 「…やめてよ」 私は懇願した。 しかし酔っぱらいに願い事なんて通用するわけがなかった。 「恋華、眼鏡ない方が絶対いいー」 私はさっきまで、あいねえは姉としても女としても最高な人だと思った。だが人としては、違うかもしれない。あいねぇはかなりたちの悪い酔っぱらいだ。 「ねえ、恋華ー」 まだ絡んでくる。
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