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「んー、それじゃあ、とっちゃうよー」
「えっ?!」
私が驚く隙に、さっと腕を伸ばすあいねぇ。酔っているのに、そういった動きだけはやけに速い。抵抗する間もなく、あっという間に眼鏡を盗られてしまった。
「あっ、あいねぇ!」
私の少し怒った声に物怖じもせず、あいねぇは1人歓声をあげて言った。
「わぁー、やっぱりそっちの方がいいー」
酔っぱらいは、最強だ。空気を読まない。
そして、次の瞬間、信じられないことを言った。
「…眠いから、寝るねー」
そう言って、あいねぇは立ちあがり、自分の部屋の方へ歩き出した。私の眼鏡を持ったままである。しかも意外と速く歩く。
私は呆然とした。
「えっ、ちょっと待ってよ!」
私がそう言うのと、あいねぇの部屋のドアがしまる音はほぼ同時だった。
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