第2章 さなぎは美しく蝶と化す

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「ちょっと、あいねぇ起きてよ~!」 翌朝、私はあいねぇの部屋の前にいた。昨日盗られた眼鏡を返してもらうためである。 だがドアをどんなにしつこくノックしても、中から返事はない。 仕方がないから1度あきらめ、朝食や身支度にむかった。そしてそれらすべてを終えて、もう1度ドアの前に立つ。 「あいねぇー!!」 大声を出した。これならどんなに熟睡でも、目が覚めるだろうと思った。 部屋の中から何か動く気配がした。ようやく起きてくれた、そう思った時、 「…うるさい」 殺気と共に不機嫌なあいねぇの声が聞こえた。 あいねぇは決して朝が強い方ではないが、ここまでひどいのは珍しい。おおかた二日酔いが原因だろう。 このまま圧にひるんでいたら、学校に遅刻してしまう。 私は意を決して、あいねぇの部屋に入った。
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