第2章 さなぎは美しく蝶と化す

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8時18分。 下駄箱で上履きを履く際、時計をちら見した。 HR開始2分前。いつもよりかなりギリギリだ。 教室は3階の端にある。少し走らないと、遅刻になるなと思って、カバンを肩にかけなおす。 そして走り始めようとしたとき、ふと昇降口に設置された身だしなみチェック用の鏡が目に入った。全力で走ってきたせいか、二つに結んだ所々から、髪がはみ出し、ぼさぼさになっている。 「いくらなんでも、ひどすぎるな…」 私は鏡に映った私に対し、そっとため息をついた。 あとで結びなおそうと、髪ゴムをほどいたその時だった。 「あれ、恋華、今日珍しく遅いんだね?」 美和だ。朝練後の片づけや確認を1人最後まで残ってやる為、美和はいつも教室につくのがギリギリになる。 「あー、ちょっといろいろあってね」 そう苦笑いしながら振り返ると、美和は驚いた顔をした。
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