第2章 さなぎは美しく蝶と化す

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「恋華、どうしたの…」 遅刻ギリギリなのに、美和は下駄箱に靴を入れる途中で完全にフリーズしてしまっている。 「美和?」 「昔の、恋華が、戻ってきた…」 ぽつりぽつりと文節ごとに言う美和。若干目が潤んできている。 「えっ?」 戸惑う私。確かにあのトラウマ事件の前の私は、髪はおろしたり、可愛い髪飾りや髪留めをつけたりしていた。眼鏡ではなく、裸眼だった。 だがそんな泣きそうになるようなことなのか。 お互いに何も言わずにただ立ち尽くす。 キーンコーンカーンコーン、キーンコーンーカーンコン 美和と戸惑う私の間に、HR開始を知らせるチャイムが鳴り響いた。 遅刻が決定となった瞬間だった。
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