第2章 さなぎは美しく蝶と化す

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「ええっと、昨日酔ったお姉ちゃん眼鏡盗られた」 「何それ、面白いんだけど」 笑い出す彼女たち。 「眼鏡はまだ見つかんなくて、あきらめた」 「あらま…」 「あと、これ裸眼」 「えっ?見えるの?」 「一応日常生活を送る程度には」 そうなのである。普段眼鏡はしているが、わずかに近視が入っているだけで、眼鏡をしなくても問題はない。地味に、目立たないようにするための眼鏡なのだ。 安堂さんがじっと私を見てから口を開いた。 「そっちの方がいいよ」 私にとっては突然の言葉だった。思わず聞き返す。 「えっ?」 「眼鏡ない方が絶対いい」 「髪おろしてるの、かわいい」 「さっき教室入ってきたとき、みんなこのかわいい子は誰かって言ってたんだよー」 次々と言い出す彼女たち。 「そっちの方が、姫乃って感じがする」 「あと恋華っていう名前にもあってる」 「かわいい名前だよね、似合ってる」
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