第2章 さなぎは美しく蝶と化す

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今まで、この7年ずっと自分で否定し続けた名前が肯定された瞬間だった。 「ねえ、せっかくだから恋華って呼んでいい?」 「うん!」 普段だったら、絶対に首を縦には振らない。ただ今日は、これをきっかけに何か新しい世界が始まるような気がした。 「私のことはあづって呼んで」 安堂さんが笑いかける。 「私はゆうって呼ばれてるよー、町田優希だから」 「私は遥」 「あづちゃん、ゆうちゃん、遥ちゃん…」 私は何だか涙ぐみそうになる。 それを見て笑う3人。 「あっ、そうだ。これ絶対恋華に似合うと思うんだよね」 あづがそう言いながら取り出したのは、淡い水色の髪留めだった。 「友達記念にあげるよ」 照れくさそうに笑いながら、私の髪に留めてくれる。
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