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キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン
始業のチャイムだ。
「それじゃあ、またあとで」
3人はそう言って席に戻っていく。
いつもは憂鬱でうらめしい鐘の音は、今日は違って聞こえた。
明るく聞こえた。弾けて聞こえた。何かが始まる楽しい予感に震えて聞こえた。
こんな風に新しい友達が増えるのなら、
こんな風に新しい世界に行けるのなら、
こんな自分を変えられるなら、
再び自分の名前が好きになれるなら、
お洒落もいいのかもしれない。
初めてそう思えた。
そして私は、この日を境にたいして必要でもなかった眼鏡をすることをやめた。髪もただ2つに結ぶのではなく、アレンジを加えることが増えた。
こうして私は、少しずつ変わりはじめたのだった。
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