23人が本棚に入れています
本棚に追加
「あっ、起きたか」
そう言ってカーテンを開けたのは、あいつだった。
「な、なんで、あんたが…」
「悪い、お前が俺のこと嫌いなのは知っている。あの日が原因なのもわかってる」
あいつは早口で続けた。
「ただ倒れたやつ、ほっとけないだろ?」
苦笑いをする。どうやら倒れたあたしを運んでくれたらしかった。
「園田さーん、病院行くわよー」
保健の先生がやって来た。困惑顔のあたしを見て、
「意識を失ったんだから、重度の熱中症だよ。先生は園田を連れていく車を用意してたんだ」
と教えてくれた。
あたしは先生に支えられて出口の方へ歩き出した。
「あ、黒木。ありがとう」
いくら恋華の敵とは言え、礼は言うべきだろう。そう思って振り替えると、あいつは驚いた顔をしていた。
「どういたしまして」
あいつは笑って返した。
最初のコメントを投稿しよう!