第3章 恋と知りて踏み出す歩み

5/27
前へ
/94ページ
次へ
「あっ、そうだ!美和の家行く前にコンビニに寄ってもいい?」 「いいけど、どうしたの?」 帰り道、私の提案に少し怪訝そうな顔をする美和。私は満面の笑みで答えた。 「お菓子!」 「ああ、勉強中の糖分補給は絶対不可欠だね」 そう言ったのは、美和ではなかった。背後から声がした。私たちよりも低い声、男の人の声だ。 そして私には、この声に聞き覚えがあった。声を聴いただけで飛び跳ねる心音が、後ろにいるのが誰かを教えてくれる。 私は立ち止まり、ゆっくりと振り返った。 やっぱり。 「知己さん!」 「久しぶりだね、れんちゃん」 「お久しぶりです。最近お店いませんでしたよね?」 ここ最近私が、通学路である店の前を通ると、必ずみづにぃが店番をしていた。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加