第3章 恋と知りて踏み出す歩み

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"……OK?" 「へっ?」 全く説明を聞いていなかったら、知己さんは何やら凄くクリアな発音で私に話しかけてきていた。私が驚いて間抜けな声を出すと、知己さんの目は意地悪そうに笑った。 "?Que tal?" 「え、えっ、な、何?」 知己さんが何を言っているのかわからず、私はとにかく焦る。 そんな英単語あったっけ? 今回のテスト範囲? っというか、今英語ではなく、現代文の勉強していたよね? 色々な考えが頭の中をめぐる。パニックを起こしそうになっている私を見て、知己さんはようやく口を開いた。 「今のは英語じゃないよ、スペイン語。テストは関係ないよ」 「えっ、ひどい!!」 「僕はひどくないよ。ひどいのは説明を聞いていないれんちゃんの方だよ」 少しふくれっ面をして知己さんは続けた。 「名前呼んでも、日本語も英語も話しかけても応答なかったから、スペイン語にしてみたんだ」
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