23人が本棚に入れています
本棚に追加
/94ページ
第2章 さなぎは美しく蝶と化す
「ただいまー!」
「遅ーい!」
慌てて家に帰るなり、私はあいねぇに軽く怒られた。
「早く着替えて、こっち手伝ってー」
そういうあいねぇの声は台所から聞こえる。そしてそちらから、カレーのいい匂いがする。
帰りが遅くなった私の代わりに、夕飯の準備を進めておいてくれたのだ。
あいねぇは私がちゃんとしてないと少し怒るが、その代わりしっかりフォローもしてくれる。優しくてしっかり者の自慢の姉だ。
あいねぇは昔から私の見方でいてくれた。
7年前私が酷く落ち込み、ふさぎこんでも、無理に日なたに連れ込もうとはしなかった。私を馬鹿にすることもなく、ただ黙って側にいてくれた。それが私には嬉しかった。当時の私のたった3人の見方、-みづにぃ、あいねぇ、親友の美和の1人だ。
最初のコメントを投稿しよう!