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チンピラは何が起きたのか理解できない風で、俯いて自分の体を見たあと再び顔をあげて不思議そうに目を丸くさせた。
そして口を開いたが、そこからは悲鳴も怒りの叫びも出ることはなく、ただ溜め息のような間抜けな音を漏らしただけで、足元の血だまりの中に膝から崩れ落ちた。
悲鳴はすぐ近くのテーブル席に着いていたおばさんから上がった。
おばさんの着ているベージュ系のシャツの、ちょうど右側縦半分が真っ赤に染まっていた。
テーブルの上にも血が飛び散り、ハンバーガーもポテトもケチャップをぶち撒けたように赤い。
悲鳴が連鎖した。
周りの人はわれ先にと僕とチンピラと血溜まりから離れようとする。
椅子が倒れ、トレーが落ち、飲みかけのジュースやハンバーガーやポテトが辺りに散らばった。
僕はどうしていいか分からずに、スマホの画面を覗き込んだ。
〈congratulations!
ファーストミッション・クリアです。
あなたのレベルが1あがりました〉
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