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practice -01
暗闇の中、白く長い尾を引いて、星が落ちていった。
ひとつではない。
ふたつ、みっつ、よっつ──
地上に向かって伸びる白い筋は瞬く間にその数を増やしていく。
やがて流星は一面を埋め尽くし、世界は白く染まる。
輝きに僕の目は灼かれる。
突然の血飛沫。
白い世界を汚す真紅の液体。
──そうか、僕は殺したんだった
その事を思い出した時、僕の喉は悲鳴を搾り出していた。
「うわあああああああああああ」
手や服が濡れている。
手から全身に広がる震え。
元は人であった肉塊。
車のシートに広がる血の海。
僕は背もたれに体を押し付ける。
死体と、怪物から少しでも逃れるように。
肩が突かれる。
「悠真、悠真」
囁きだが、強い調子の千花の声。
「え」
千花がなぜここにいるんだ。
なぜ車のシートなんかに座っている
怪物とは何だ。
いくつかの疑問が、炭酸飲料の泡のように湧き上がる。
スクリーンでは主人公の白人男性がダッジ・チャレンジャーの運転席から外へ転がり出た。
直後に、フロントガラスを砕いて侵入した巨大な怪物の爪が、運転席のシートを破壊する。
「悠真、声大きいって。
ビックリしすぎ」
「え、映画……?」
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