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というか、そのチンピラさえもが、女の子を脅迫することも忘れて僕のほうを見ていた。 「な、なんだテメエ」 当人も良くないことをしている自覚はあったのだろう。 そして、それをとがめる者がでてくるかも知れない可能性も頭にはあったのだろう。 だから、剣という武器を目にした時、とっさにそれが自分に向けられる物だと思ったのだろう。 だが当然、僕にそのつもりはない。 何だと訊かれても、その質問の答えは持ち合わせていない。 ただただ呆気にチンピラと剣を眺めるばかりだ。 剣は抜き身だった。鞘はない。 鍔も柄もほどほどの装飾が施されており、刃は店内の照明を受けて黄色っぽく輝いている。 チンピラがこっちへ向かって歩いてきた。 まさか自分がトラブルの当事者になるとは思ってもみなかった。 まるで頭蓋骨内が綿でいっぱいになったかのように、視界と思考がボンヤリとする。 予想外の自体に、僕はパニックを起こしかけていた。 すがるような気持ちでスマホに目を落とす。もちろんそんなところに、打開策が載っているわけもないのだが。 画面には、『1、剣』が大きく表示されている。 ああそうか、剣の選択肢をタップしたから、剣が出てきたんだなと、ぼんやり考える。 そしてその下で点滅しているactionと書かれた文字をろくに考えることくタップした。     
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