南の魔王をぶっ飛ばせ!

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ジメジメした重苦しい空気は漂っているが、魔物の気配は感じなかった。そのまま道なりに歩くと、人工的な明りに照らされた空洞を見つける。 目に映し出されたのは驚きの光景。色とりどりの花々が咲き乱れ、その美しさに足を止め呆然と立ち尽くした。 「何だ、ここは? 俺たちは魔物の回廊に入ったんだよな。キタノ、どういうことだ?」 「分からぬ。以前通った時は、ただの空洞だったはず。気をつけろ、幻覚の一種かも知れぬぞ」 戸惑っていると、どこからか笑い声が聞こえてくる。 「フフフ……幻覚じゃ無いわ。キース様が好きにしろと言ってくれたから、私の能力に合わせた部屋へ模様替えしただけ」 アリスたちの前に、セクシーな人型の魔物が現れた。 「お主、気配を消していたな? ここで侵入者を排除しているという訳か」 「排除なんて、そんな野蛮なこと言わないわよ。私の名前はルカ。私とゲームをして、満足させてくれたら、この先にある扉の鍵を渡すわ」 「くだらぬ。我は遊んでいる暇など無い。扉など魔法で吹き飛ばしてくれよう」 「そんなことをしたら回廊ごと吹き飛んで、生き埋めになっちゃうわよ」 ルカは魔王の睨みを笑顔で逸らし、全員の顔を見渡す。そして、セバスの前に移動した。 「あなたは話が通じそうね。どう、私と遊んでみない?」 「詳細を伺いましょう」 「簡単よ。ここに咲く花から一つ選んで、私にプロポーズをして。キュンキュンして満足できたら鍵を渡してあげる。但し、キュンが足りなかったら罰ゲームを受けて貰うわ」 「なるほど、概ね理解しました。一つ、質問させて頂きます。先ほど、私の能力に合わせた部屋へ……とおっしゃっていましたね。その能力による罰ゲームですか?」 「鋭い質問ね。そうよ。でも、安心して。罰ゲームと言っても心に傷を負う程度だから」 とても安心できない。心に傷を負うくらいなら、普通にダメージを追った方がまだマシな気がする。 とは言え、ゲームをクリアしないと先へは進めそうにない。魔王が気だるそうに呟く。 「まったく……キースの配下は変なやつが多くて困る」 お前が言うな。 そんな魔王を横目に、アリスはわりとまじめに作戦会議を開いた。
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