256人が本棚に入れています
本棚に追加
「ルカにプロポーズするということは、私やヘイヤじゃ無理ね。ハッタ、セバス、キタノの誰かが……」
「俺は嫌だぜ。まだ子供なんだぞ。プロポーズなんて想像つかないよ」
「我も嫌だ。そもそも、キュンさせるという意味が分からぬ」
当然のことながら、ハッタと魔王は嫌がっている。
「私が参りましょうか?」
「セバスはダメよ。あなたはゲームを見て、傾向と対策を考えて貰うわ。というわけで……逝きなさい、ハッタ」
「俺かよ!」
ゲームに失敗する前提の、鉄砲玉扱いだ。いつもならヘイヤの出番なのだが、この状況では仕方が無い。ハッタに逝ってもらおう。
「何をしていいのか分からないのに、どうすればいいんだよ」
「任せなさい。ヘイヤ、母性本能をくすぐるような、可愛らしい花を用意して」
「分かった」
ヘイヤから小さくて可愛らしい花を渡され、アリスに耳打ちされる。
「まずは……それから……」
「本当に大丈夫なのか?」
「完璧だわ。絶対にキュンとする。後は、あなたの芝居でどれくらい満足させられるかね。こればっかりは、やってみないと分からない。言葉は多くいらないわ。初々しさを態度で示しなさい」
もう逃げられない。ハッタは覚悟を決め、素っ気ない態度で花を差し出した。
「やるよ。なあ、俺と一緒になってくれないか? えっと、その……頼りないかも知れないけど……守りたいんだ」
……
……
ルカはキュンキュンしている。
そっぽを向いて、照れ臭そうにしているハッタ。大人の女性を口説く子供の初々しさを見事に表現していた。勿論、芝居では無く本当に恥ずかしいのだろうけど。
しかし、ルカは花を受け取らない。
最初のコメントを投稿しよう!