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「アリス姫、どうすればいい?」
「ヘイヤ、キタノに合う花を探して。キタノは耳を……」
アリスからアドバイスを受け取り、ヘイヤが探してきた薔薇を持ってルカの前に立つ。そして、魔力を解き放ち威圧した。
もしかして、力づくで鍵を奪う作戦なのか? ルカは怖くなって後ずさりする。しかし、魔王に迫られ壁際へと追い込まれてしまった。
さらに逃げ場を無くそうと、魔王は壁に手をつき、ルカの動きを止める。
そう、壁ドーン!
「お主を愛している。さあ、その美しい顔を見せてくれ」
ストレートな愛情表現からの、顎クイッ!
「そんな……困るわ……」
「困ることなど何も無い。全て、我に捧げれば良い」
「でも……あっ」
ルカはバランスを崩して転んでしまい、魔王が覆い被さる。
トドメの、床ドーン!
フルコンボ達成だ。
キスしてしまいそうなくらい二人の顔が近づき、ヘイヤとメルはドキドキしながら見つめている。
「すまなかった、大丈夫か? さあ、この花を受け取ってくれ」
「えっと……ごめんなさい」
ここまでやって、まさかの撃沈。報われない魔王は、座り込んで絶望した。その上、お子様のヘイヤとメルに慰められている。踏んだり蹴ったりだ。
「ルカ様、何がいけなかったのでしょう?」
「キュンキュンしたわよ。でもね、私は守られるより守ってあげる方が好きなの。どちらかと言えば、守ってあげたいという点で最初の子の方がキュンとしたかな。さてと、罰ゲームの時間ね」
「これは?」
「マリーゴールド。花言葉は『嫉妬、絶望、悲観』よ」
花を受け取った魔王の瞳から色が失われる。そして、ブツブツ呟き出した。
「何故、我がこんなことしなければならないのだ……ジーンと一緒にいるキースが羨ましい。もう、死にたい。どうせ、何もできぬ我の存在などゴミのようなものなのだ……」
嫉妬して絶望して悲観している。哀れで見ていられない。
その横で、アリスとセバスは冷静に話し合っていた。
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