~プロローグ~ 再び魔王討伐の旅へ

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遡ること数ヵ月前。 見た目は超絶美少女のジーン王子を、北の魔王が姫と勘違いして連れ去った。 何故、可愛い妹を無視したのか? 兄の方が妹より可愛いと言いたいのか? 個人的な理由で怒りを爆発させた妹のアリスは、仲間と共に北の魔王をぶっ飛ばす。 結果、ジーンは中途半端に無事な状態で助けられ、国に平和が戻った。 しかし、平和だったのも束の間。今度は南の魔王にジーンが連れ去られてしまう。 どうでもよくなったアリスは、ジーンを無視して優雅なティータイムに突入していた。 そこへ、北の魔王の配下であるチェシャが現れる。 「南の魔王様が来なかった? あれっ、またお兄さんが攫われたの? おかしいな。男と女を間違える馬鹿などいない。よし、美しいと評判の姫を城に迎え入れ、兄を笑ってやろう……そう言ってたはずだけど」 …… …… 北の魔王に続いて、南の魔王も兄の方が美しいと判断したらしい。 当然の如く、アリスの怒りが爆発した。 「魔王の一族は目が腐ってるんじゃないの!? 世界一可愛い私を差し置いて、兄上を連れ去るなんて許せない! 絶対に許さない! 原型が分からないくらいボコボコにして、剣で切り刻んで、ハンマーで粉々にして、爆弾で木っ端微塵に吹き飛ばしてやる! 私は男にしか興味がありませんって土下座して言わない限り、南の魔王を地の果てまで追いかけるわ」 召使いのリリスを自分の替玉にして、アリスは執事のセバスと共に宮殿を飛び出す。そのまま城下町の広場へ移動し、胸元に付いている国宝のブローチを外した。 「ハッタの店で情報収集してくるから、セバスはこのブローチで旅の準備をお願い」 「国王様から頂いたブローチですが宜しいのですか?」 「そんなことを気にすると思う?」 「全く思いません。では、闇商人から馬車と食料を仕入れて参ります」 セバスを見送り、駆け足で道具屋へと向かう。 そして、勢いよくドアを開けた。
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