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勇者とは、簡単に言うと魔王と呼ばれる者を倒し世界に平和をもたらす、勇気ある者の総称である。
決して家系だからとか、力が強いだからとかでは決まらないのだ。嫌、決めて欲しくない。
考えても見てくれ、たかが先祖が勇者だったからと選ばれた者が勇者になりえるか?力が強く人一倍の身体能力があったら勇者が務まるのか?では、世界一優しい人は勇者なのか?、断じて否ある。
力と心が共に強く、力を世のために使えるものこそ勇者と成りえるのではないのか?ましてや家系など糞くらえだ。何の役にも立たない。まぁ、少しくらい役立つ時もあるが.....
と、まあ長々と俺の勇者感について語ってきたが、何を言いたいのかと言うとだ、
「俺は勇者なんぞには絶対にならんからなーーーー!!」
俺の大声が家中を通り越して村中に響き渡った。
「何が今まで我が家では勇者として活動してました、だ!!ほとんど役立たずだったじゃないか。」
「特に酷い者なんて、『エロ本ハンター』なんて二つ名まで付いて、全世界で指名手配までされてたじゃないか。なんで魔王差し置いて全世界のお尋ね者になっちゃってんの??バカなんですか??」
ここまで言うと、俺の話を聞いていた母親に殴られた。
ちなみに母親も勇者の家系だったので力は相当なもので、軽く俺を殴っただけで壁に叩き着けられる程だ。
このゴリラめ!!
もう一発殴られた。読心術でもあるかのようだ。
「何でお前はいっつもそうなんだい。確かに曾々爺さんはダメな奴だったけど、お前は違うじゃないか。」
「この前だって、近所の子供が森に迷い込んでしまったのをいち早く助けに向かってくれたり、車が崖から落ちそうになった時も引っ張り上げてあげたじゃないか。」
「こんなにも、力が強くて、優しいのに何で.....」
「金にならないからだよ!!」
またもや村中に声が響き渡った気がした。
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