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「大丈夫さ。君はお母さんが絶対に守ってみせる。だから……安心しておくれ、可愛い坊や」
狂気に満ちた慈しみの声を零し、彼女は自らの腹を愛おし気に撫でる。
その一か月後にゼニアオイは1人の男児を生んだ。
彼女はゼラニウムという名を息子に与えると、夫に託してどこかへと失踪してしまう。
そして、ゼラニウムが5歳の誕生日を迎える頃に、魔王と名乗る邪知暴虐の王が現れる。
「さあ、可愛い坊や。私の下に来るがいい。
魔王を殺して栄誉を、富を、幸福を、全てを手に入れろ。
愛しい坊や。私の幸せそのもの……」
魔王が現れ、さらに10年の歳月が流れた時。
名をゼラニウムとつけられた少年が、魔王を討つべく勇者として立ち上がるのだった。
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