あとひとり。

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 ピッ ピッ ピッ ピッ ピッ  彼女は、真っ暗な部屋で、一つの人形と見つめ合っていた。  ああ、これで終わるのね。  ああ、ああ  彼女の紅い紅い唇から、甲高い悲鳴のようなものが漏れた。  それは、笑いだった。  さあ、選びましょ。  いつものセリフは、ああ、何と、嬉しいものでしょう。  満月。  ベッドの上の少女。  さあ、目を覚まして。  彼女は、甘い、甘い声で、人形を抱きしめた。
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