あとひとり。

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「私も、極力外出しないようにする。もし外に出るならば、絶対一人では出歩かない。だから、安心して。犯人は一人の時じゃないと襲えないわ」 「……ねえ、紗耶香」  どこか夢を見ているように、おぼろげな目で景が呟いた。 「あそこに、病院があるよね」  その視線を辿ると、窓外はるか彼方にそびえる白い巨塔が、陽の光で(もや)を被っていた。 「誰かから聞いたんだけどね、あそこに、南川中学校の生徒……ううん、生徒だった女の子が、意識不明のまま、一年くらいずっと眠ってるらしいの」  乾ききった目が、ガラス玉のように、光を反射する。 「その子はね、  いじめられてたらしいの」  紗耶香は、喉の奥がきゅっと閉まるのを感じた。
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