またひとり。

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 さあ、時間だよ。  彼女は両手いっぱいに人形を抱えた。  ピッ ピッ ピッ ピッ ピッ  無味に紡がれる心電図の波が、生の証明。  白いベッドに横たわる少女のつるりとした顔を、窓から月光が覗き込む。  青白く浮かび上がったその顔は、陶器のように端正だった。  月が満ちたわ。  彼女は愛おしそうに人形たちを見つめ、再び視線をベッドの少女に向けた。  さあ、選びましょ。どの子が良い?  ベッドの少女の目が、ゆっくりと開いた。  瞬きもせず、白い天井に漂う虚無な深い夜を  見つめて、  逸らした。  少女の目が、彼女の抱える人形たちを捉えた。  そして、止まってしまいそうなほどゆっくりと、右腕を上げる。  長い人差し指は、真ん中の人形を指していた。  円い月が翳る。少女は糸が切れたかのように右腕を落とし、瞼を下げた。  今日も、選んでくれなかったわね。  彼女は、少女に選ばれた人形の茶色い髪を撫でて呟いた。  
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