またひとり。

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「まただって」  鈴間(すずま) (けい)が声をひそめて言った。 「え、何が?」  木野(きの) 紗耶香(さやか)はきょとんとした。 「波杉高校ってあるでしょ、そこの女子生徒が一昨日から行方不明らしいよ」  景は怪談を気取っているのか、声のトーンが妙だ。 「景が言っても全然怖くないんだけど」  紗耶香は笑って言った。  景は残念そうに口を尖らせた。 「ちぇー、紗耶香って全然ノってくれないからつまんない」 「他を当たりなさい」  紗耶香は景の両頬を掴んで引っ張った。童顔がさらに幼く見える。 「ちょっとぉ、私これでも高校生なんだからね!」  さらに不機嫌そうになる。   
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