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「ごめんごめん。景って面白いからさ」
「ほーらまた私で遊んでる」
「ごめんって。で、『また』ってどういうこと?」
景の最初の言葉を思い出しながら紗耶香は尋ねる。
「そっか、紗耶香は隣町に住んでるからあんまり知らないのか。今、七月でしょ。五月、六月にも一人ずつこの町の女子高生がいなくなってるの。家出とかじゃないらしいし、誘拐かもって言われてる」
そういえば、少し前に担任から注意があったのを思い出す。物騒だな、というくらいで済ませていたのだが。
「偶然じゃない?」
紗耶香の言葉に、景は大きく人差し指を振った。
「だめだめ、これだから現実主義は。こういうのには繋がりがあるもんなんだよ」
目をキラキラさせている景を見て、そういえばこの子都市伝説とか好きなタイプだったよな、と思い出す。
「そういうのもいいけど、気を付けなよ? 三人もいなくなってるんでしょ」
「だぁいじょうぶ。こう見えて毎日筋トレしてるんだから!」
「筋トレで不審者は倒せないでしょ」
チャイムが鳴り、二人の会話はそこで途切れた。
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