18人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
序章1
勘解由小路降魔さんと12人の僕たち
桜田門にある警視庁から遠く離れた田園調布の端。それが、諌早真琴の目指す旧西ノ森邸だった。
只でさえ郊外である田園調布の、更に端の林の中にそれは有った。
煉瓦造りの古い洋館。それ以上でも以下でもない。精々、いくらで買ったんだろうと言った程度の感想しか抱けない自分の如才の無さを感じながら、諌早は両開きの重い扉に手をかけた。
が、一人でに開いた扉の前で、握り拳を掲げたまま立ち尽くした。
開いた扉の陰、闇の中から顔が斜めに覗いている。
面。
黒子衣装を纏い、アボリジニか何かが祭りか何かで被る精霊の面が、何も言わずにこちらをじっと見つめている。
正直気味が悪かったが、このままでは間が持たない。諌早は胸のポケットから手帳を取り出し、開いて見せた。
「警視庁の諌早です。家の方と話しを伺いたいのですが、どなたかいらっしゃいますか」
すると、面が音もなく闇の中に引っ込み、そのまま音沙汰がなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!