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今日のデートは、ちょっと遠出の山の上のレストラン。この長いトンネルを抜け、少し走った所にあるはずだ。
トンネルに入って少し経った頃、助手席の彼女が後ろを気にしだした。バックミラーで確認するが、後ろには何もない。
「愛ちゃん、どうかした?」
「あのね、ゆう君…」
彼女の視線が、後ろから僕に移った。いや、視線の先は、僕を通り越して、外を見ているようだ。僕はチラリと外を見るが、時々、対向車が通り過ぎるだけで、何もない。
「隣を走ってるバイクの人、何してるのかな?」
「とっ、隣!?」
思わず顔を向けてしまったが、誰もいない。
「きゃあ!ゆう君、危ないよぅ」
「ご……ごめん…」
少しハンドル操作が乱れてしまった。
彼女の悪い冗談か?でも、彼女に限って、そんな訳の分からない冗談を言うとは思えない。
「えっと……バイクって、どんな?」
「今ね、追い越して前に出たよ」
いや、前にも後ろにも、バイクなんかいないって。
「どんどん離されてるー。負けるな、ゆう君!追いかけろー!」
少しテンションが高い、いつもの彼女だ。
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