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なんとなく周辺の町を走らせていると、途中で「きっきょう旅館」と書かれた看板が目に留まった。
他に泊まれそうな場所もなく、だめもとで行ってみる事にした。
少し迷いながらようやく着いたその旅館は、町中に佇む木造の作りの古い建物で、周囲は薄暗く静まりかえっていた。
旅館の脇に小さな駐車場を見つけ、俺たちはそこにバイクを止めた。
ヒビの入った玄関のガラス戸を開けると、明かりがついていて廊下の手前には大きな古時計が見えた。
玄関から声をかけたが、聞こえていないのか誰も出て来ない。
クーラーは効いていないのか、旅館の中は蒸し暑かった。
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