1954人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
胸がキュンキュンする少女漫画。
小学生の頃はお小遣いでりぼんを買い
中学の途中からマーガレット
キュンキュンしては、ヒロインと恋に落ちるパーフェクトイケンメンに憧れた。
「そんな面白い?」
あぁ、私もOLになればよかった。
誰にも内緒のオフィスでこんなことしてみたかった。
レンタルショップで借りてきたコミック。
大人ラブを借りたら
「なにエロいの読んでんだよ」
ソフトR18が。
「なぁ夕飯餃子食いに行かね?」
「今月の外食費は使い切りました」
「じゃあ餃子作って、もう餃子腹」
今日は2人揃って休みだった。
だから朝から掃除して買い物。
それからついでのレンタルショップだった。
「豚ひきニラ皮…」
ググってるらしい。
「うちはコーンとかチーズ入れたりしてた」
「作ったことあんの?」
「お母さんがいた頃ね」
「よし、買い物行くぞ」
この人、意外とフットワーク軽いんです。
30分後
「ただいま~…まだ読んでんのか」
一之瀬さんが1人で行ってきた。
今いいとこなの。
「無視か」
買い物を冷蔵庫に入れ、寒い寒いと言いながら一之瀬さんはコタツに潜り込む。
「なんか面白いのやってねえかな~」テレビをつけた。
本の中では主人公が片思いだと思っていたイケメンに不意打ちの
「ねぇ一之瀬さん、床ドンやってよ」
床ドンされてた。
羨ましい。
「床ドン?」
「壁ドンの床バージョン」
佳境に差し掛かった漫画から目が離せない。
ドンッッ!
顔の真横に手をつかれた音で漫画の世界から戻った。
真剣な目が
漫画と同様、ヒロインを見つめる。
早よ決め台詞を
だけど胸キュンな私をよそに
ドンしてない手がコタツの中でさわさわと生身を探し
「そこまでしたらときめかないんだけど」
「床ドンでやめれる男は存在しないから現実を見ろ」
そこまで求めてなかったのに、一之瀬さんの手はエロエロモードに突入し、レンタルコミックはコタツの上に置かれた。
やはり漫画の世界は憧れでしかない
ヒロインのお相手はこんな酷いことしない
「んーーー!」
「逃げるな
漫画の男もカメラ回ってないとこでは
こんくらいやってるから」
「やってない!」
そんなお休みの昼下がり
夕方には2人並んで餃子を包みましたとさ。
「高菜入れよ~」
「お、いいね」
「ねぇもうビール飲みながらやろうよ」
「そだな」
「カンパーイ!」
何もないこんな日も幸せ
「ね、一之瀬さん」
「なんですか一之瀬さん」
あ
「ゆ…悠二さん…」
最初のコメントを投稿しよう!