何もしない日

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胸がキュンキュンする少女漫画。 小学生の頃はお小遣いでりぼんを買い 中学の途中からマーガレット キュンキュンしては、ヒロインと恋に落ちるパーフェクトイケンメンに憧れた。 「そんな面白い?」 あぁ、私もOLになればよかった。 誰にも内緒のオフィスでこんなことしてみたかった。 レンタルショップで借りてきたコミック。 大人ラブを借りたら 「なにエロいの読んでんだよ」 ソフトR18が。 「なぁ夕飯餃子食いに行かね?」 「今月の外食費は使い切りました」 「じゃあ餃子作って、もう餃子腹」 今日は2人揃って休みだった。 だから朝から掃除して買い物。 それからついでのレンタルショップだった。 「豚ひきニラ皮…」 ググってるらしい。 「うちはコーンとかチーズ入れたりしてた」 「作ったことあんの?」 「お母さんがいた頃ね」 「よし、買い物行くぞ」 この人、意外とフットワーク軽いんです。 30分後 「ただいま~…まだ読んでんのか」 一之瀬さんが1人で行ってきた。 今いいとこなの。 「無視か」 買い物を冷蔵庫に入れ、寒い寒いと言いながら一之瀬さんはコタツに潜り込む。 「なんか面白いのやってねえかな~」テレビをつけた。 本の中では主人公が片思いだと思っていたイケメンに不意打ちの 「ねぇ一之瀬さん、床ドンやってよ」 床ドンされてた。 羨ましい。 「床ドン?」 「壁ドンの床バージョン」 佳境に差し掛かった漫画から目が離せない。 ドンッッ! 顔の真横に手をつかれた音で漫画の世界から戻った。 真剣な目が 漫画と同様、ヒロインを見つめる。 早よ決め台詞を だけど胸キュンな私をよそに ドンしてない手がコタツの中でさわさわと生身を探し 「そこまでしたらときめかないんだけど」 「床ドンでやめれる男は存在しないから現実を見ろ」 そこまで求めてなかったのに、一之瀬さんの手はエロエロモードに突入し、レンタルコミックはコタツの上に置かれた。 やはり漫画の世界は憧れでしかない ヒロインのお相手はこんな酷いことしない 「んーーー!」 「逃げるな  漫画の男もカメラ回ってないとこでは  こんくらいやってるから」 「やってない!」 そんなお休みの昼下がり 夕方には2人並んで餃子を包みましたとさ。 「高菜入れよ~」 「お、いいね」 「ねぇもうビール飲みながらやろうよ」 「そだな」 「カンパーイ!」 何もないこんな日も幸せ 「ね、一之瀬さん」 「なんですか一之瀬さん」 あ 「ゆ…悠二さん…」
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