思わぬ再会

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「どうぞイッチー、返ってきたわよ」 一之瀬さんの隣にいたリンリンがどいて 龍子さんは私をそこに追いやった。 「よかったな、松ぼっくり」 「うん!ちょーやる気出た!」 一之瀬さんがぽんっと私の頭を撫でる。 「あ、なんだ大丈夫なんだ」 「結婚したら余裕でた?」 「悠二が頭ぽんとかキモい」 「ツッコんでやりなさんな」 「なんかさ…」 「あっちの方が険悪じゃない?」 越智さんが龍子さんにブツブツ言ってた。 「あんなの営業トークじゃん  地元民なのに感じよくしとかないと  こんな地場産業潰れちゃう」 「や、それはそうだけど  ユイちゃんに押しつけて  こっち来ればよかったよね?」 越智さんのくせに何言ってんの てか越智さんもヤキオ? 私の時にはしなかったじゃん すごい私たち 二人してどんだけ猫被ってたの。 「ね、一之瀬さん  ハイボール飲みたい」 二人でメニューをのぞき込む。 やたらくっつく。 「じゃあ俺もハイボールにしよ」 「すみませーー…あ!」 呼ぼうとしてキッチンの方 丁度入ってきたお客さんとばっちり目が合った。 「お!悠二くんにユイちゃん!」 みんなそっちを注目 「朝霧部長だ!」 「お疲れ様でございます」 「お、よく見たら見たことある顔ぶれ  なになに、ここ貸切人気なの?」 一緒に入ってきた人が 少し離れたとこで待っていた 「イケメンだね」小声 「本社の社員?」小声 「合コン頼みたい」小声 「あ、あれ息子」 「息子さんと飲みにとか素敵パパ~」 「ホント!」 「そんないいものじゃないんだよ…」 なんだか肩を落とし 「じゃ、皆さんは楽しんで」 息子さんと奥に入っていった 息子さんはこっちにちゃんと頭を下げて それから3杯ハイボールを空にして 私たちもお店を出ることにした。 「1万5千円です」 イケメンコックが言う。 「女子いくら~?」 「私も女子に入っていい~」 「でも龍子さん一番稼いでるよね」 「確かに~!」 若干酔っ払いな女子はよくわかってなく 「や、水木ちゃん安すぎね?」 「あちらのお客様から2万いただいてます」 うそ!朝霧部長ステキすぎ! 「残りはうちのちびっ子の子守代でサービス」 なんて素敵なお店 なんて素敵な朝霧部長 こうして私たちは 上機嫌でお店を出た。 「次どこ行く~」 「たまにはカラオケ?」 「いいね!」 「ユイ」 だからあなたの微笑みは怖いのよ。 「俺たちはもう先に帰ろうな」 「は…はい…」
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