6人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああ!あの貴族の拳闘士の娘か!見違えるくらい強くなってるな!」
正面の敵をなぎ払いながらディアナを視界に入れていた騎士団長だったが、その奮闘振りに驚いていた。
「思い出したのなら早く伝えてあげれば良いものを。今なら拳一発くらいで済むと思いますよ。」
「殴られるってコレか……そりゃないぜ。」
フィアナの援護を受けつつトホホと返す。
「俺との再戦を目指してこんな所まで来るとはな…。だが今は!」
「ええ。あいつも解っていますよ。今の最優先は!」
掛け合いながらも周囲の魔族を斬り伏せ、徐々に戦線を押し上げていく。
ディアナも集団の魔族を打ち倒し、合流してきた。
「こっちはあらかた片付いたけど、何か変よ。急に数が減ってきたわ。」
ディアナの指摘に周囲を注視したフィアナが叫んだ。
「やられた!部隊との距離を開け過ぎた…地中から来るぞ!」
途端。地面が盛り上がり、スケルトンの集団が這い出てきた。
「空からもお出ましのようだな。大きいのはブラッディバットか!」
グランバットを引き連れコウモリの集団が飛来してきた。
「成る程ね。ハイゴブル到着までの時間稼ぎだったのね。さっきのゴブル集団は!」
数が減ったと思っていた集団は武装を強化し、増援を引き連れ戻ってきた。
戦線を上げていたつもりだったが、味方部隊との分断の隙を与えてしまった。
その上、敵の増援により前後左右・地中・上空と完全に包囲されてしまった。
一斉攻撃は時間の問題。騎士団長が得意の中央突破を試みようと剣を構えたその時。
コウモリの集団より遥か上空から、炎の球体が3人の前に突撃してきた。
爆炎を撒き散らし、現れた姿にフィアナは顔を歪める。
「こんな時に竜族の襲撃だと…!!団長このままでは!」
焦りを隠せないフィアナに対し、残り2人は言葉を無くしていた。
身構えるフィアナをよそに竜は背を向けて、眼前のスケルトンに
『ゴオ"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ"』
咆哮と共に特大の炎を見舞った。
焼き払い、分断された道を開いた炎竜に2人は
「「ダルギオン!!」」
と、その名を呼ぶ。
それに応えるように次々と周囲を焼き払う炎竜に背を任せて急ぎ立て直し、部隊の方へと後退していく。その間にディアナはダルギオンと話した。
最初のコメントを投稿しよう!