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「緑が戻ってきたわね。ここはこうでなくっちゃね。」
あの魔族の襲撃から何年か、少しずつ懐かしの故郷に戻っていくイスリーダ平原を眺めて呟く。
故郷の風を感じながら、遠くに1人の剣士が歩いて来るのをを見つける。時間通りで大変結構。
近づいてくるその姿は以前と変わらず、否、以前よりも遥かに力強く映る。
「剣神だなんて師匠譲りに呼ばれてる割にはあっちにフラフラ、こっちにスタコラしてるくせに。」
信憑性はともかく、いろんな噂を耳にする。
人助け然り、死闘然り。
だが何処で聞こうにも、その強さが以前にも増しているというが分かる内容だった。
「まあ、私もあちこち行ったわよ。中でもアレは驚いたなぁ。」
修行中、見知らぬ炎の洞窟に迷い込んだことがあった。その最奥で信じられない程の強い炎と対峙した。
人の形にも見える炎で、物凄い威力と火力を込められた拳を放ってきたのだ。
何度も打ちのめされながらも拳を合わせていたが、やがて消えてしまった。
その後に見つけた。その炎の欠片というか魂の様なモノ。
ソレを見つけた時、一瞬輝いたのだ。再度誓いを立てた際に拳の中に生まれた結晶が。
「今日もきっと見つかるわ。ソレを見つけたとき、私は…!!」
振り返ってみれば長いようで短い時間。約束の時間にその男は来た。
三剣聖と謳われ、覇煌剣神の二つ名を経て変わりなく。
その瞳に宿す、迷いなき炎はさらに強く。
「さあ!約束の時よ!私と勝負なさい!」
拳に宿す炎も迷いなく、さらに熱く。
「誓いを果たすわよ!クライドッ!!」
EX章 覚醒の炎拳士
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