6人が本棚に入れています
本棚に追加
「うわわっ!こっちにも!?ってちょっと待って!待って!待って~~!!」
炎の剣士との再戦に備え、自分の拳と炎を磨く。自然と火属性の居そうな方向へと足が進んだ。この辺りは砂漠や火山ほどの熱気は無いが、広く静かな砂の海だった。
「ここは砂地でしょうが!炎なんて何処に……って、もしかして、私!?」
先の炎舞撃を鍛えようと様々な火属性多種族と闘う中に、この辺りではあまり見掛けないヤツがいたので強い亜種かも?と仕掛けたところ、続々と現れたので片っ端から炎舞撃を見舞ってやった。………それがいけなかった。
打撃を受けたその亜種が爆発したのだ。片っ端から殴ったので、片っ端から爆発するのだ。
ファメル王国東部、モグロ砂海は砂ではなく爆炎の海になりつつあった。
「あれってフレイドじゃないの~~~~~!?」
フレイドは知ってる。洞窟に生息する魔法生物で炎が好物。炎を求めてやってくる。
あの亜種は知らない。大きなフレイド?初めて見た。
間違っていない。まんまだ。ビッグフレイドだった。違うのは体内の炎の蓄積量で、臨界を超えると崩壊の際に大爆発するのだ。
ディアナにしてみれば初見殺しもいいところである。
「っ!…ふうっ!逃げ続けるのは趣味じゃないのよ。」
爆炎を見て、剣士の剣技を思い出す。
完膚無きまでに自分を打ちのめした、あの炎剣技。
圧倒的火力で自分を吹き飛ばした、インフェルノブレイド。
「今度は絶対に負けない!」
剣士にも、自分にも負けられない。
爆炎を避けるのではなく、吹き飛ばす。…あの剣士がそうしたように!
殴り飛ばす程度の威力では爆風に追い付かれる。
炎舞撃の連打では爆発が早まってしまう。
爆発したとしても、その爆炎ごと吹き飛ばすような瞬間的な威力が必要だ。
イメージはできている。経験がモノをいうとは正にコレだ。
彼は剣士。自分は拳士。
武器は違っても炎は同じ。一度見た炎は忘れない。
不思議と、今ならできると確信していた。
しかしあの剣士がヒントだと思うと……………………ちょっぴり悔しかった。
「遠慮なんかしないわよ!ヘルフレイムミラージュ!!」
拳に集中する渾身の炎が爆発した。 3章 炎を纏いし拳
最初のコメントを投稿しよう!