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「この辺りだと思うんだけどなぁ。」
肌に纏わりつく熱気を、さして気にもせず周囲を見渡すディアナ。
以前訪れたファメルロックを思い出させる火山道。熱気の中に魔族の気配漂うこの地は、ゴルモレイと呼ばれ、人の気配がしない魔の領域だ。
ディアナはここ、オグローン火山に闘いたい相手がいるのだった。
「アレに勝てないようじゃ、あいつには勝てないわよ…!!」
初めはファメルロックに居る、と聞いていた。
とある人族の剣士に敗れた後、復讐を胸に轟炎を携え挑みかかるも、再び敗北を喫することとなったモノ。そしてその剣士に
-----いい戦いだったな。またやろうぜ-----
と、笑顔を返されたモノ。
自分が貰えなかった言葉を持っているモノ。
そのモノはファメルロックからオグローン火山の方角へと『飛び去って』いったと言われていた。
「…!?あの火球、火山の噴火とは違う!見つけたわよ!」
逃すまいと全速力で駆け出す。
遠方に見つけた火球は、近づくにつれ本来の大きさと熱をディアナに知らしめる。
人族など数十人は容易に押し潰すであろう巨大な炎の球を目前に、その炎を吐き出すモノを視認する。
「あなたと闘わないまま、あいつに挑むことはできないのよ!さあ、勝負なさい!」
「轟火竜ダルギオン!!」
翼から炎を迸らせ、振り返るだけで熱風を巻き起こす炎竜の眼がディアナを捉える。
人族の拳闘士と思しき女が、その拳に炎を纏い勝負を挑んできた。
その小さな炎に何か思うところがあるのだろうか、炎竜は
『コ"ォヲア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ァァーーーー!!!』
火山を揺るがし応えた。 4章 火竜の咆哮
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