6人が本棚に入れています
本棚に追加
「何でよ…何で攻撃してこないのよ!!」
避けられた。払われた。弾かれた。吹き飛ばされた。相殺された。押し返された。
何度なく繰り返される。
攻撃があたることもあったが、反撃されることは無かった。
しかも、
『………………。』
攻撃はしてこないが、沈黙でこちらを見てくるのだ。
無視はしないが相手にもしない、と言われている様でディアナには堪らなかった。
「何なのよっ!私が相手じゃ不満だっての!?攻撃する価値も無いって言うつもり!?」
最初の咆哮から数時間、我慢の限界だった。
なれば、と拳に力と炎を集約させる。
渾身の一撃で認めさせてやろう。お前の相手は私な……
『ソノ炎ハ我ニ向ケテノモノナノカ、人間。』
唐突に放たれた静かな、それでいて力強い口調の問いに拳の炎がかき消された。
不意打ちを喰らいイラついたが、即座に返す。
「なによ、喋れるんじゃない。そうよ!アナタに喰らわせる炎よ!」
再び炎を拳に纏う。先程より更に強く。
『違ガウナ…ダガ似テイル。我ノ纏イシ炎モ、ソノ揺ラギヲ見セタ時ガアッタ。』
拳の炎を見ながら炎竜は続ける
『炎ヲ高メル術ハ間違イデハナイガ、ソノ揺ラギヲモ纏イ続ケテハ結果ハ出ヌゾ。』
攻撃は無視され、止められて、更には説教まがいな言葉を発する炎竜にディアナの怒りの炎が爆発した。
「ごちゃごちゃと五月蠅いのよ!あいつを超える為のこの炎に、間違いなんかないんだからぁ!!」
『ヤハリ届カヌカ。デハソノ身ヲモッテ再現シテヤロウ。ソノ炎デカノ炎剣士ニ挑ミ、敗レタ愚カナ竜
ノ結果ヲナ!』
オグローン火山の一角に2つの炎が交差した。 5章 揺らぐ炎
最初のコメントを投稿しよう!