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だが、目撃者は皆無。田舎町の住宅街にある公園に面した道路など、防犯カメラがついているわけもなく、また、運転手の供述が彼の狂言だという見方もあって、捜査は難航していた。
そんなとき、僕がタイスケを犯人だと勘違いして錯乱していたところに、本当の犯人が現れ、僕達を襲い、自ら犯人だと告白した。その告白を110番の通話を介して警察に知らせた甲斐あって、犯人は無事に逮捕されたのだ。
「タイスケはともかく、僕は、そんなのもらう資格ないよ」
そうだ。僕は、事件に全く関係のないタイスケを疑い、彼に暴行をはたらいたものだから、僕も逮捕されていてもおかしくないのだ。
「コースケがオレに会いに来なければ、今もまだアイツはどっかでのうのうと生活してやがるかもしれねーだろ!ぜーんぶコースケのおかげ。だからコースケもカンシャジョーもらっていいんだよ!」
タイスケがムキになって言うので、僕は思わず笑ってしまった。
「とにかく、後藤さんはすげーっす」と、ヒロミチが言った。何がすげーのか、具体的に言ってほしいと口に出そうと思ったが、やめた。
「そういえば、タイスケ、学校は大丈夫なの?」
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