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「成長したなあ、タイスケ!しかし、君が後藤康介君か。会ってみたかったんだよ」
初対面なのに、僕の名前は知っているし、変な事は言うしで、僕は鳥肌が立ったけれど、萩野さんは、警察なんだという事を思い出した。
「うっせーっつってんだろ!コースケに会ってみたかったとか、きもいんだよ!」
叫ぶタイスケを完全に無視して、萩野さんは僕の前に立った。
「磯泰輔の件では、どうもありがとう。君のおかげで、容疑者を逮捕出来たよ」
「あ、そんな、僕は、別に何も……」
口ごもる。僕の悪い癖だ。いや、違う。照れ臭いのだ。警察官本人に謝礼の言葉を言われるのは、素直に嬉しいと思う反面、そわそわした気持ちになる。
「コースケ、かわいすぎだろ!」
「康介君は、君には言われたくないそうだよ」
タイスケの茶化しに、僕の代わりに萩野さんがあしらってくれた。
「いつ、コースケがそんなこと言ったよ?ハギノのくせに出まかせ言うんじゃねーぞ」
怖いもの知らずというか、ただ虚勢を張っているのか、タイスケは、自分より強いと言っていた萩野さんに対しても思った事をずばずばと言うようだ。その性格が羨ましいなと思った。僕には絶対出来ない。
「タイスケ、お見舞いだ」
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