指紋消失の危機

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 亜実花は時給900円で働いている。近隣のスーパーやコンビニもだいたい同じ位だ。だが亜実花には登録販売者の資格手当がほんの少しついている。  1ヶ月働くと10万円位になる。  しかし! 今日の勤務中、掃除で店内をまわっていた時、亜実花は発見してしまった。 『アルバイト募集中! 時給9万円』  考えてみれば当たり前だ。ジュース1本1万円の世界で、時給900円じゃあ誰も働く人なんているわけない。  うちの店の時給は9万円だ。だから亜実花の1ヶ月の給料は1000万円という事になる! 「お金持ちだー」  実際、この世界じゃ全然お金持ちなんかじゃない。家賃や光熱費、スマホ使用料などの支払いを引くと300万円位しか残らない。食費とか生活費を引くと、100万円残るか残らないかだ。  でも毎月100万円ずつ貯められたら、1年で1200万円、いや、節約したりもっとバイト増やしたりすれば……。 「家建てられるじゃん」  もちろんこの世界じゃ無理だ。でも元の世界に戻れば……。   「頑張ってみるか」  貯金をして元の世界に戻る。    素晴らしい目標が出来た。この為だったら頑張れる。辛い仕事にも耐えられる。  亜実花は希望に燃えてきた。
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