やる気の出る魔法

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 仕事帰りには、亜実花はいつも月を見ながら歩いていた。 「今夜は半月か……」  夜空に星はほとんど無かった。その代わり月の周りには幾つかの赤い点滅があった。  隣の市には空港がある。    飛行機では無くて、何か違う物が飛んでいないかなぁ、と期待しながら歩いている。    小さい頃、田舎のお婆ちゃんの家に泊まりに行った時、天の川が綺麗に見えた。  お婆ちゃんが亡くなって、田舎のあの家に誰も居なくなってからは、もう行くことも無くなった。  でも天の川を見に、いつか行きたいと思っている。 「ただいま」  誰も居ないと分かっていても、今日はそう言ってみたい気分だった。 「今日は忙しかったー。おなか空いた」  亜実花は冷蔵庫から冷えた麦茶を出し、カップラーメンを食べるためにお湯を沸かした。  
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