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 空の青から色をもらったら、とても綺麗な色なのに、ひどくキャンバスに塗りにくい。  空から色を貰うんじゃないよと入道雲に言われていたけれど、あんまりにも綺麗な色だったから、ついそれを忘れて貰ってしまったのだ。  それにしても、この空の色をもらってから、いっこう天気がよろしくない。  ここ数日は雨ばかり降って、正直気が滅入ってしまう。  その雨に色を塗ればいいのにと、くちなしの花が呆れたようにいったので(くちなしの花は無口だというのに!)、物は試しと雨粒に青をそっと含ませた。  そうしたらまるで魔法のように、その青が辺り一面に広がって、世界が青一色になって、次の瞬間ざあっと世界が鮮やかな青に染め変えられた。  近くに置いてあったラディオでは突然の梅雨明け宣言も伝えられる。  ――色を返してくれてありがとう、小さな絵描きさん。  そう言ってくれたのは綺麗な青に染まった空。  そうか、空から青を奪ったから、梅雨が長引いてしまったのだな。  そう思ったら、なんだか少し申し訳ない気分になった。    翌日起きたら枕元になにか置いてあった。  持ち上げてみたら、水晶よりも青く透き通った、雨の欠片だった。  青空からの貰い物、なのだろう。そっとポケットに大事にしまい込んだ。
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