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それから1週間後の夜、照明を落としたリビングのつきあたりにパッと一瞬であらわれたのは、金と銀の光を纏ったクリスマスツリー。
もみの木の緑葉の先は雪のように白く、シルバーと淡いゴールドの大小さまざまなオーナメントボールが吊り下がり、LEDのクリアな光にきらめいている。
背丈ほどもあるツリーを前にして、透は目を細める。
まぶしいだけではない。
賢吾にとって、あたたかな家族の象徴であるそれが、ふたりのものとして存在している。
ふたりで買いに行き、飾りつけた。
時間もかかった。
それだけの甲斐はあったと思った。
「うん、イメージしてたのよりずっといい」
賢吾のつぶやきに透が返す。
「英会話スクールのクリスマスツリーに近い感じになるかと思ってた」
懐かしい思い出のクリスマスツリー。
「せっかくだから、オレたちらしいクリスマスツリーにしたかった」
「俺たちらしいかはともかくとして、すごくきれいだ。カラフルじゃないのもいいな」
「こうすればカラフルにもなるよ」
賢吾がLEDのスイッチを押すと光の色が変わる。
白い光と黄色い光も統一感があって美しいけれど、オーナメントを金銀で揃えたため、青や緑、赤にピンクに紫といった鮮やかな光の色にもよく映えた。
LED を15秒毎に色が変化する設定にし、ふたり並んでツリーを眺める。
満足そうな賢吾に透が微笑みかける。
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