680人が本棚に入れています
本棚に追加
Christmas Ornaments
12月に入ってまもなく「クリスマスツリーを飾りたい」と言い出した賢吾に、透はなかば笑いながら「いいんじゃないか」と返事をした。
なんとなくそういう予感がしていたからだ。
今年最初にクリスマスツリーを見たのは11月中旬で、中矢さんのセレクトショップだった 。
シルバーに輝く葉のない木にブルー一色のオーナメントでまとめられたツリーには厳冬の凍てつくような透明感があった。
思わず暖かいコートを手にとってしまいそうなほどのインパクトがあった。
次は草加さんの店。
靴の製作過程で余った緑色の革がなめらかな、20センチほどの小さなツリーは草加さんの手作りだ。
オーナメントの代わりとして繊細な穴飾りとスタッズが施されたそれは、彼女の職人芸が詰まった世界にひとつしかない逸品だった。
最後はジェイクとスティーヴの英会話スクール。
教室に1メートルほどのクリスマスツリーが置かれていた。
生徒たちと一緒にジェイクとスティーヴが飾りつけたツリーは、先端に金の星が輝き、モールがぐるぐるに巻かれ、キラキラと光るボール、サンタクロースにトナカイ、天使、リボン、数々のオーナメントで埋め尽くされ、カラフルな楽しさがあふれていた。
最初のコメントを投稿しよう!