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英会話スクールからの帰り道、賢吾は「家で飾っていたツリーみたいだった」と懐かしそうに微笑んだ。
「透のところは?」
「うちは特になかった。ああ、玄関の棚に母親がリースを飾ってたな」
「じゃあクリスマスプレゼントは?」
「サンタクロースからはなかったな。ローストチキンやケーキは父親の仕事の付き合いで買ってたから食べてたけど。賢吾の家はしていたんだな」
「冬は弟が家にいる時間が長かったせいもあるのかな?田舎っていうのもあるかも?季節の行事は大切にしていた気がする」
「サンタクロースを信じてた?」
「小学2年生まではね。3年生の時、部屋に入ってきてプレゼントを置く父さんに気づいちゃってさ。まあ、予感的中って感じでショックじゃなかったけど、翌朝気づかない振りしてプレゼントを喜ぶ方が大変だった」
「子どもながらに気を使ってたんだな。賢吾らしい」
そうかな、そうかも、と家族との思い出を微笑いながら話す賢吾を見て、透も知らず知らず微笑っていた。
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